BLOG/日々のこと
2021.10.11
ヘリテージマネージャー講座(第2回-2)
10月9日にヘリテージマネージャー講座の第2回-2が山陽小野田市で開催されました。
今回の調査建物は旧小野田セメント住宅で龍遊館と名がついた建物です。この建物は大正13年の建設で当時の小野田セメントが幹部の住宅として建てた建物で数件並んで建っていた建物の1件を市民の保存会の活動により保存活用されている建物です。
外見は何の変哲もない平屋建ての建物ですが構造が特殊で外壁が24cmのコンクリートの壁でおおわれており内部と屋根は木造になっています。さすがはセメント会社でその技術を活かした構造となっています。24cm厚のコンクリートの外側にモルタルを塗って化粧目地を施しまるでブロック造のように見せています。腰の部分とマグサは人造石の研ぎ出しでこだわったディテールになっています。ぱっと見はコンクリート外壁には見えません。当時の目的としては耐震性というより耐火性を期待しての構造のようです。内部は応接室が洋室、和室と2室、あと生活空間は田の字型の和室とお手伝いさんの部屋もあります。この建物を20数名のメンバーで調査測量しいずれは有形登録文化財を目指します。
その後原田HM協議会副会長の案内で市内の近代建築巡りをしました。
まずは近くの住吉神社に行って、わが国最初の民営セメント会社「小野田セメント」を設立した笠井順八氏の石像を見に行きました。いまの小野田の町の礎を築かれた方です。
それから歩いて小野田セメント山手倶楽部に向かいます。
今回は残念ながら管理者不在のため中を見ることはできませんでしたが、外から見ただけでも立派な建物です。大正3年の建設でこちらは特殊なブロック造の建物のようです。ちなみにこの建物は登録有形文化財になっています。
それから近くの木造の医院建築を見に行きます。
こちらは大正15年の建設で外壁は下見板張りで洋風建築の風情を残しています。見た限りサッシ等も工夫を凝らして改修保存されているようで現在も診療されているようです。
それから山口銀行小野田支店倉庫を見に行きました。
こちらの建物は残念ながら現在使用されていません。旧小野田銀行の建物で大正初期に建てられたようです。やはりブロック造で独特なデザインとなっています。
山陽小野田市のことはあまり詳しくは知りませんでしたが、今回の調査を通して地域の特性や特色に応じた建物が多く残っていることに改めて関心しました。