小林建設設計事務所

BLOG/日々のこと

2024.7.15

瑠璃光寺五重塔改修工事

先日、令和の大改修を行っている、山口市の国宝、瑠璃光寺五重塔の改修工事の見学会が山口建築士会の主催で開催され行ってきました。

何度か見学会は行われていたようですが、今回は主に建築関係者に向けた見学会で施工担当者(協和建設)による丁寧な説明もあって非常に貴重な体験でした。

 

まず1階部分で構造体の劣化具合や柱が建設当初(室町時代)のものであるという説明をしていだだきました。

 

次に五段目の屋根部分の見学です。

屋根は檜皮葺きで最上段から葺き替えられているので、五段目はまだ檜皮の撤去と内部の傷んだ箇所の確認です。

次に四段目の屋根に移ります。

軒先部分に銅板の水切が取り付けられ、先端部分のみ野地板の上に透湿防水シートが仕込まれています。この施工に関して現場担当者より説明があり、通常文化財の改修に新建材は使わないのですが、五重塔の屋根の形上、上部の屋根を伝った雨が軒先部分に落ちます。その部分の劣化を防ぐためにやむ負えず施工したそうです。

 

それから今回の改修工事の主役である檜皮葺職人の方(山口市のひわだやの社長様)に檜皮葺の施工方法を説明していただきました。この薄い桧の皮を何枚も重ねながら竹釘で留めていきます。

山口市内に檜皮葺専門の仕事をする会社があることが非常に貴重なことだと思います。

 

続いて最上部の屋根を見に行きます。

概ね檜皮の施工は済んでいます。

瑠璃光寺の五重塔の特徴は何と言ってもこの先端の反りです。

最上部の足場から屋根の状態が見学できます。今後一生見ることができない景色です。

この距離でみると改めて職人さんの技術に頭が下がります。必ずこの技術の継承は後世に残していかなければならず、日本の建築界において伝統技術の継承というのは重要な役目だと思います。

 

最後に最上部の相隣の部分まで近づいて見ることができました。

今後も部分的な改修工事は行われると思いますが、ここまでの大改修は100年以上は先になるとのこと。この時代に生きていてよかったと感じる体験でした。

 

見学後に受付にあった全国の五重塔の比較表を撮ってきました。

全国で五重塔・三重塔で国宝になっているのは22塔ありますが、瓦葺きのものが多く、私はこの瑠璃光寺の五重塔の檜皮葺の屋根が一番美しく雅であると思います。

今後、足場がとれて全景が現れる日が楽しみです。